ことばのまわりをぐるぐると♬

旧タイトル:仏語と独語の学習メモ♬

L'oiseau et l'enfant 鳥と子供 (3):Kids United版の訳とオリジナルとの違い

前回は私がいかにこの歌詞の音声のもつリズムに魅了されているか語らせていただきました。

plurilingue.hatenablog.com

今回はやっと歌詞の訳です。

この歌は私の検索した限りにおいてはお二方が訳されています。

宇藤カザンさま

lapineagile.blog.fc2.com

Lapis lazuliさま

ameblo.jp

 

いずれも美しい素晴らしい訳であなたの出る幕がないのでは?と思われるかもしれません。
私もちょっとそう思います。

 


でも、私はこの歌の場合、自然な日本語よりも言葉遊びの部分を大事にしたいんです。
言い換えれば不自然でも歌詞の一行ごとの翻訳をしたいんです。

 

さらに付け加えれば、お二人ともオリジナルのMarie Myriam版を翻訳なさっています。
オリジナルとKIDS版は最後の方が違っていて、それによって受ける印象メッセージが大きく異なっています。

と自分なりに私が訳す意義を見出したところでKIDS UNITED版のL'oiseau et l'enfant(鳥と子供)の訳です。

ちなみに訳で一番、苦労したのは下の番号で3番の最後と4番の冒頭でした。

番号は全て、便宜上、私が勝手に振ったものです。

実は脚韻も最初は考えて「ね」「よ」「の」をつければできる!と思ってつけてみたのですが、うっとうしさを感じたのでやめました。

だから意識したのは「言葉遊び」だけです。

*****************

鳥と子供 

1

輝く目をした子供のように
遠くを渡る鳥を見る
大地を飛ぶその青い鳥のように
世界はどんなだか見て 世界は美しい

2
美しいのは波間を踊る船
人生に愛に風に酔った
美しいのは波から生まれた歌
捨てられた 白い砂浜に

3
白いのは純潔、詩人の血
歌いながら愛を創り出す
人生が晴れ着をまとうように
そして夜が変わるように 日なかへと 

4
日は夜が明けるときの人生の日
起こすため 重たい目をした街を
毎朝、夢の葉を落とすときの
私たちにくれるため 愛の世界を 

5 (コーラス)
愛、それは君
愛、それは私
鳥、それは君
子供、それは私

6
私はというと陰の少女にすぎず
光り輝く宵の明星を見る
君は私の星、私の輪舞を編み出す
照らしに来て 私の黒い太陽を 

7
黒いのは惨め、男たちと戦争は
時の手綱を取れると信じている
愛の国に境はない
持っている人のため 子供の心を

8 (1' )
輝く目をした子供のように
遠くを渡る鳥を見る
大地を飛ぶその青い鳥のように
私たちは見つけるだろう この愛の世界を

9(=5 コーラス)
愛、それは君
愛、それは私
鳥、それは君
子供、それは私
--------------------------------------------------------------------
10 (=1) (+コーラスパート) 

輝く目をした子供のように   
遠くを渡る鳥を見る                
大地を飛ぶその青い鳥のように
世界はどんなだか見て 世界は美しい

11 (2’)(+コーラスパート)
美しいのは波間を踊る船
人生に愛に風に酔った
美しいのは波から生まれた歌
世界はどんなだか見て 世界は美しい

 

***************************** 

点線を引いたところ(9番)までがマリーミリアム版と同じです。

その後、マリーミリアム版は「鳥それは君、子供それは私」を繰り返します。

KIDS版もコーラスパートで「鳥それは君、子供それは私」を繰り返していますが、

メインとしてはErzaちゃんが歌うパートの10,11です。

マリーミリアム版は最後にテンポをおとしますが、そこは「君(toi)」でポーズがあって、そしてゆっくり「子供それは私(L'enfant, c'est moi」で締めます。

まさにタイトル通り、「鳥と子供」すなわち「君と私」の曲だという印象です。

一方KIDS版は11番の最後の行の「世界はどんなだか見て(Vois comme le monde)」からNilusiちゃんがメインを取り、Erzaちゃんがサブに回り、「世界は美しい (Le monde est beau)」をゆっくり歌っておわります。

その直前の10番(かつ1番)にも「世界は美しい」は出てくるので、強く印象に残ります。

オフィシャルビデオでは歌の最後の「世界は美しい」のところで

Unisons-nous pour l'éducation des enfants dans le monde.

(世界の子供の教育のために力を合わせよう)

という文字が出てきます。

youtu.be

 

当時二十歳だったマリーミリアムが私は「子供」と歌って指すのは、それはやはりうら若き年頃の少女であり、恋愛のイメージが強くなりがちなのですが、ローティーン中心のKIDSが歌うとき、子供はそのままいとけなき「子供」になります。

KIDSの歌う「愛の世界」も恋愛ではなく、子供が愛される世界、子供の希望や夢を育める世界(おそらくUNICEFとしては「教育が受けられる世界」)を指しているように感じます。

歌詞には海や空や大地から宇宙、壮大な世界から青い鳥と子供、様々なモチーフが出ていて、他にも解釈すべきところがあるとは思いますが、KIDS版の一番伝えたいメッセージは、たとえ6番の「陰の少女」のように暗闇にいようとも、あきらめないで、この世界は広く美しいのだということでしょう。

私にはさらに「君は今は子供でも、いつか君だって鳥になって羽ばたけるのだ。」というメッセージが聞こえてくるのですが、皆さんはいかがでしょうか。

 

L'oiseau et l'enfant

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